心不全と緩和ケア 第2版
—チームアプローチに向けて

600超の文献と患者・家族の実体験から考える心不全緩和ケア実践の書

  • 編 著ミリアム・ジョンソン、リチャード・リーマン、カレン・ホッグ
  • 翻訳監修佐藤 幸人(兵庫県立尼崎総合医療センター)
  • 体裁B5変形 256ページ 並製本
  • 定価4400円(本体価格4000円)
  • 発売日2020年3月10日
  • ISBN978-4908781001

 


心不全治療ガイドラインや関連学会でも、とくに重要性が強調されるようになった緩和ケア。

しかし、正確な予後予測ができない心不全では、告知のタイミングや伝え方が難しく、実際に緩和ケアが導入されることはほとんどないのが現実です。

本書は、世界に先駆け心不全緩和ケアが導入されつつある英国で発行された、「Heart Failure and Palliative Care: a team approach Second Edision」の日本語版です。心不全に緩和ケアを導入する困難さを踏まえつつも、多数のエビデンスと患者の生の声から、緩和ケア導入に向けた具体的な方法を提示しています。予後についての悪い知らせを、いつ・どのように伝えるのか。患者の身体的苦痛、心理社会的苦痛のほか、自己の存在の意味に関わるスピリチュアルな苦痛を察知し取り除くため、心不全チームは一体何ができるのか。症状緩和のためにはどの治療薬を用い、どの治療薬を中止するのか。そして、それぞれの患者にとっての「望ましい死」(good death)とは何であり、最期のときは、どこで・どのようなケアを受けるのが、最善なのか。

緩和ケアとはプロセスであり、チームで対応にあたることの重要性が、随所で強調されています。100人いれば100通りのケアが求められる緩和ケア。本書では、そのための実用的かつ現実的なアプローチを提案しています。


《構成》
第1章心不全に緩和ケアはなぜ必要なのか
第2章重症心不全症候群の病態生理
第3章心不全の薬物・非薬物療法
第4章心不全患者の余命をどう考えるか
第5章心不全症状を緩和する治療
第6章サポーティブケアとは何か
第7章患者とはどう関わればよいか
第8章望ましい死を迎えるためのケア
第9章若年心不全患者に対する緩和ケア
第10章心不全緩和ケアの現状と各国の取り組み


翻訳監修
佐藤幸人
兵庫県立尼崎総合医療センター 循環器内科長、京都大学医学部付属病院循環器内科 臨床教授
専門は心不全。長年にわたり心不全のバイオマーカーなどについての研究を行う一方で、早くから医師・看護師・薬剤師・理学療法士・栄養士などの多職種によるチーム医療に力を入れてきた。近年は、栄養指導や緩和ケアを含めた包括的ケアを実施している。現在、心不全領域でチーム医療や緩和ケアを行う臨床医として、多職種に向けた学会活動や著作活動も精力的に行っている。 本書へのコメント「本書は、医師や看護師などの医療従事者のみならず、患者やその家族もしくは一般市民が読んでも心から共感できる内容と思う」